[コメント] 戦国野郎(1963/日)
けして悪くはないのだが、どうにも加山雄三がきれいすぎて、迫力を欠いた感は否めない。佐藤允の清濁併せ呑むしたたかさ、非情さと、頭の良さは、複雑なドラマとして心に残るのだが、加山雄三は突き抜けた感じがしなくて、中途半端になっている。
加山雄三の役名は「越智吉丹」(おちきったん)となっていたが、ひょっとして関西弁で疑問符のつく「おちきったん?」=「落ちきったの?」のしゃれかと思わせるような感じがした。
佐藤允のように、行くところまで行って開き直ったあくの強さをみせるでもなく、かといってまっとうな堅気にもなりきれない、そういう宙ぶらりんな感じがする。
これが加山雄三の、ある意味では限界ともいえるが、そういう人間を起用した岡本喜八の真意を測りかねる一本であった。
ただ、映画づくりは全体として見せる映画に徹していて、そういう手腕の確かさに喜八監督の冴えを感じさせた。
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