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[コメント] 幼なじみ(1998/仏)

バックに流れるリストの「愛の夢」や若いカップルのスクリーン映えする美しい顔に心奪われる。夢や思いを語り合うシーンはまるで言葉の泉のよう。溢れ出す言葉に力強さを感じる。映画でありながら小説を読むような趣きがある(2001年8月5日)
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**ネタバレ注意**
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フランス映画は久しぶりだったが、いかにもフランス映画らしいモノローグ使い。それが10代の新しい生命を自分の体に宿した少女のモノローグなのだが、非常に哲学に満ちた言葉なのだ。もちろん映画の中のセリフも語りあって語り合って…互いを知るというような、日本ではこんなに話さないだろうと思うくらい話し合うシーンが出てくる。言葉、言葉…言葉の洪水。小説を読むような印象を覚えた。10代の妊娠出産、そして生まれてくる子の父親がレイプという無実の罪で投獄されていること、人種差別、家族よりも宗教にのめり込む人物のエピソードなど、悲惨になりがちな要素がたくさんあるはずなのに、若い2人が歩んだ軌跡や2つの家族がいかに強い絆で結ばれてきたかというエピソードが挿入されることで、とても暖かみを感じる。それがフランス映画だからか嘘臭くなく、いかにもフランス映画然とした感じなのだ。

印象に残るのは、アフリカ系の青年が自分の夢を少女に語るシーン。彫刻で身を立てようとしている自分と結婚してくれないかと18歳の少年が少女にプロポーズする。君と同じくらい、彫刻は自分にとって大切だと語るシーンが、スペイン映画の『オール・アバウト・マイ・マザー』に出てきたエステバンに似ている(エステバンは17歳で、自分の母親の人生を題材に小説を書く夢を持っていた)。日本映画では、若者がこんなに明確に自分の夢や希望を語るという場面に出くわさない。現実の社会でも似たようなものだ。そんなことが映画を見ていて頭をよぎった。そして主人公の若い2人がスクリーンに映える実にいい顔をしているなと思った(2001年8月5日)

(評価:★4)

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