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[コメント] GO(2001/日)

おいしいシーンとキメ台詞満載。やっぱテレビドラマだな・・・って監督は映画の人だったの?だっせぇー。020906
しど

これが「映画」として評価されるなら、段々、「邦画の評価」が私とズレて来ているのかもしれない。そう感じてしまった程、「いまどきなテレビドラマ風映画」であった。

オープニングの短いカットとストップモーションの羅列、音楽の使い方は、初期の石井聰亙を思わせ、 さらにタイトル部分は今風であり、大いに期待感を煽る。しかし、オープニングのこの手法は、以降、使われず、 凡庸な映像が続く。シーン変わりの「エフェクト」にその面影を残すが、徐々にこの「エフェクト」も無くなる。 ただ、映画冒頭で「これは僕の恋愛に関する物語だ」と断言しているのだから、「恋愛映画」としてはふさわしくない冒頭の「手法」 は「恋愛映画とは違うフリをして使った」、と解釈はできる。「フリ」に過ぎなかった、ともいえる。

では、この映画は単なる「恋愛映画」なのだろうか。そうではない。あからさまに、「在日朝鮮・韓国人のアイデンティティと日本人の差別観」なる 「社会問題」もテーマにしている。では「在日と日本人とのロミオとジュリエットなのか?」と思うとそうでもない。 「じゃあなんなの?この映画」と問われると「いわゆる社会問題を根底にしたありきたりな恋愛映画」と答えざるを得ない。 つまりは、「テーマを絞りきれてない中途半端な映画」といえる。 それゆえ、映画の醍醐味である、テーマに沿ったストーリー展開に長時間身を委ねることもできない。 記憶に残るシーンや台詞は満載である。しかし、それは、オープニング時に抱いた期待が裏切られたように、 あくまで「シーン」や「台詞」として「記憶に残る」のであって、映画の流れとは無関係な評価となる。 このような特徴は、大抵、テレビドラマ出身の監督に見られる。「おいしいシーンはできるだけ引っ張って行こう」 「ちょっと、ここでキメ台詞入れとこうか」なんていう、CMで興味が削がれる「テレビドラマ的構成」を前提とした 作品に見られる特徴なのである。だから、ストーリー全体の展開の中での「タメ」や「スカシ」といった「映画的構成」ではなく、 「見栄えのするシーンはより長く、かっこいー台詞はとことん連発」が羅列される。それが単調だから、途中で飽きるのだ。 こんな映画を「映画畑」の監督が作っちゃうことに驚く。ま、評価されないと食っていけないからなぁ。かっこ悪いけど。

ただし、今でもまともな「社会問題」である「差別」を、こういう形で「軽く見せる」のは、むしろ「効果的」かもしれない。 劇中における「在日の世代間ギャップ」のように、私と他の観客との間に「ギャップ」があるとするなら、だんだん、こういうのが邦画の傾向として受け入れられてるのかもしれない。と思いきや、「差別される男のシンクロと恋愛」な矢口監督の「ウォーターボーイズ」なんて王道映画もできちゃうんだな。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)tredair[*] crossage[*]

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