[コメント] 五条霊戦記//GOJOE(2000/日)
静と動の交差に見る側がシンクロできた時、大いなる躍動感が得られる。
世紀末なラストが、更なる「生」を産むのであれば「4」だったんだけど。
この映画を見てると、石井聰亙を「サブカル」に留めてる邦画の現状が恨めしくなる。
物凄く本流指向なはずの監督の技術は、映像だけでなく音の細部までのこだわりに伺える。翻って役者も、隆大介の本格的な醍醐味、船木誠勝の迫力を、表面的な魅力だけではなく、映画の「登場人物」として生き生きとした演出で「生」を吹き込んでいる。同様に、顎の細い浅野忠信、永瀬正敏らに、過大な意味を与えず、右往左往する力無き少年として描き切る。
サブカルとしてなら、突っ込み所満載な映画だが、監督の「本気加減」に安易な指摘は弾き返される。つまりは、最近、邦画に見ることのできない、時代劇を正面から現代風にアレンジしたとてつもなく真面目な映画なのである。
惜しいところは、ラストの「動」の衝突の結末である。これをきちんと整理できれば、娯楽映画の大御所になれるはずだが、どこか「サブカルの大御所」に甘んじているように感じられる。世紀末の映画としての結末だったのかもしれないが、21世紀となった今、新しい「生」を吹き込んだ、本格的な石井聰亙の映画を期待する。
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