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[コメント] 華氏911(2004/米)

これがプロパガンダになる程、アメリカ国民は「無知」であるというのが、映画の質低下の原因だろう。あとは、「プロパガンダ」としての影響力がどこまであるか、大統領選までの反ブッシュ票の動きも含めてこの作品の楽しみ方だと思いたい。040902
しど

過去の作品を期待もせずに見てしまい、非常にお気に入りの監督となったマイケル・ムーアだったのに、この作品は、過去の「上手さ」がわずかしかない。短期間でのやっつけ仕事的な印象すら受ける。それは、深さが足らないからだろう。フロリダでの不正選挙、ラディン家とブッシュ家との繋がり、カーライルやハリバートンなどの戦争民営化の闇、その他諸々を、テロへの恐怖を煽り立てることで結びつけてはいるが、全て表面的に並べるだけだ。本当は、それぞれを一つずつ深く扱った方がドキュメンタリーとしては面白かったはずだ。何しろ、本当に、それぞれが謎に満ちている。

911というテロ自体を追っても謎は様々だ。映画では触れられていないが、テロリストと戦う乗客の様子が携帯電話で地上とやりとりされていたという有名な話があるが、上空の飛行機から繋がる携帯電話というのは実はまだ開発されていない。では、その話を聞いた人達は何を聞いたのか?他にも、イスラエル系の社員は当日出社していなかったという噂は本当か?などいろいろ。

911自体でもこれほど面白いはずなのに、なぜか面白味を追求せずに、ブッシュが大統領就任以来のいろいろを羅列するだけに終始してしまった。前作までの、ムーア自身の赴くまま、あっちゃこっちゃへ取材にでかける面白味も捨ててである。

そこまでして作った目的は、本当に、「ブッシュを大統領選で落とす」というだけなのだろう。つまりは「プロパガンダ」だ。日本人には周知のネタが、「プロパガンダ」として使われる程、米国内での情報は少ないということでもある(今でも911はイラクが犯人だと思ってる米国人は国民の4割程居るらしい)。これでもかと、事実のみを提示して見せて、ようやく目を覚ます米国人でなければ、この映画は楽しめないのかもしれない。ならば、映画そのものよりも、この「プロパガンダ」がどこまで通用するのか、そこまで見届けることで、ようやくこの作品の楽しみは終わるのかもしれない。

(評価:★3)

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