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[コメント] さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち(1978/日)

シリーズの最高傑作。この映画を子供の頃に観られたのは本当に幸せだった。ただ,ヤマトをここで終わりにしなかったのはシリーズ最大の不幸だったと思う。
ワトニイ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







テレビシリーズを無理矢理,劇場版にした第1作と違って,この作品は最初から劇場用に創られたため非常に良くまとまっている(確かテレビシリーズの2作目は,この作品の後に始まったはず)。

それにしても,この作品を変な予備知識や偏見のあまりなかった小学生の頃に観ることができたのは,本当に幸運だった。もし大人になってから初めて観たとしても,この辺は軍国主義的に過ぎないかとか,白色彗星帝国やガミラスはあの国にそっくりではないかとか余計なことを考えてしまい,あれほど素直に感動はできなかっただろう。

第1作目の「地球滅亡まで,あと○○日」という設定は非常に衝撃的だったが,この2作目ではヤマトがもはや過去の戦艦となり,乗組員たちが時のヒーローではなくなっているという設定で,前作ほどのインパクトはないものの,子供ながらにそこはかとない悲哀が感じられ,素直に感情移入できた。

また,ヤマトと対照的な未来的なデザインの最新鋭戦艦アンドロメダをはじめ,コスモタイガーなどややリアルになったメカにも大いにワクワクさせられた。そして,ヤマトの波動砲よりも強力なはずのアンドロメダの拡散波動砲が白色彗星に通じず,ヤマトの波動砲なら通じるという(今だったらご都合主義的にしか見えない)設定にも「なるほどなぁ」と感心したものだ。

一方,この作品では脇役(というより準主役)たちの人間模様もわりときめ細かく描かれていたと思う。特に,ラストもさることながら,真田と新キャラ斉藤の最後にはジーンと来た。この頃は,死というものの意味をおぼろげながらも少しずつ考え始めるようになった頃でもあったので,愛する人たちのために死ぬというラストにも,子供ながらにいろいろと考えさせられた。

もし,一つだけ文句があるとしたら,それはこの作品自体にではなく,その後,この作品のラストを完全に否定するストーリーを平気で乱造し,「後の作品を観る上では,シリーズ最高傑作である本作はなかったことにする以外にない」という特殊な位置づけにしていった製作者たちの姿勢に対する抗議である。

点数は少し甘いかもしれないが,この映画を初めて観た時の素直な感動に対して。

(評価:★4)

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