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[コメント] ランボー(1982/米)

ランボー』は『タクシードライバー』の真逆の物語だ。(『タクシードライバー』のネタバレあるよ)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







リアルタイムで公開当時に映画館で観て以来、実に28年ぶりの再鑑賞。 リアルタイムで鑑賞するのと違って、古い映画の後日鑑賞は歴史的に俯瞰で眺められる楽しみがある。

ベトナム帰還兵物というと、ベトナム戦争終結後3年で製作された『タクシードライバー』(76年)、5年後に製作された『ディア・ハンター』(78年)が有名だが、82年制作の本作品、初作『ランボー』も忘れてはならない。

ベトナム戦争終結後10年近く経っており、やや旬を逃した感もあるが、実は帰還兵の問題がクローズアップされた時期なのかもしれない。実際のところは知らんけどな。 あるいは、アクション映画を撮りたいための“方便”でベトナム帰還兵を持ち出しただけかもしれないけどねー。

いずれにせよ、ベトナム帰還兵のPTSD(この当時、少なくとも日本にはそんな言葉は無かったが)に起因する物語として、『ランボー』と『タクシードライバー』の設定は似ている。 似ているというよりも、“表裏”の関係と言えるかもしれない。

ランボー』のランボーは、なんだか分かりにくいな、『First Blood』のジョン・ランボー(以下ランボー)は、見た目怪しい浮浪者だが、実は至って真っ当な神経の持ち主である。 一方、『タクシードライバー』のトラヴィスは、一応定職もあり世間的には真っ当な市民に見えるが、実はアレな人である。 ランボーは優秀な軍人だったようだが、おそらくトラヴィスは一兵卒だったのだろう。

真っ当な神経の持ち主のランボーが理不尽に追い詰められる様は理詰めだが、アレなトラヴィスは論理もヘッタクレもなく、筋の通らない理屈でアレになる。 そのため、ランボーは意図的には殺さないが、トラヴィスは明確な意志を持って殺人に向かう。 その結果、ランボーは犯罪者として逮捕されるが、トラヴィスはむしろ英雄扱いされたりする。

これらの“表裏”の関係は、映画そのものの方向性にも現れている。 『タクシードライバー』は人間の内なる狂気の物語だが、本作『ランボー』は社会に対する怒りの物語である。

ベトナム戦争の戦後処理と不況で疲弊した70年代アメリカが、80年代に入り「強いアメリカ」に転身していく。 そうした時代を体現した映画『ランボー』。

ん?俺、『ロッキー』でも似たようなことを書いてるな。

(10.11.13 DVDにて再鑑賞)

(評価:★4)

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