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[コメント] 恐怖と欲望(1953/米)

キューブリック幻の劇場デビュー作。キューブリック研究には重要な作品だが、本人が公開したくなかった理由もよく分かる。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭、ナレーションが入ります。 「これは実話に基づいた話ではない。しかし普遍の物語だ」といったような。

改めて気付いたんです。 これ、キューブリックの映画全てに当てはまるじゃないか。

戦場であれ、山荘であれ、宇宙であれ、近未来でも古代でも中世でも、その舞台で描かれるのは普遍的な「人間性」だったように思う。 そして彼は「普遍的な人間性」をあぶり出すために、ほぼ常に「恐怖と欲望」を巧みに描いてきた。

物語はこうあるべきだと思うんです。フィクションを構築するとはこういうことなんです。 キューブリックは常に「本当にあった泣ける話なんてモンは犬にでも食わせちまえ!」と言っていたのです(<言ってない)。

そう考えると、キューブリック研究における重要な一本だと思う。ま、俺は研究しないけどね。 1953年という制作年を考えれば、当時としては話も演出も先進的だったと思うのだが、「キューブリックの」という冠の下で観ると、作品としてはまだまだ完成度は低い。 描きたいことをフィクションの中に消化しきれていない印象がある。

(13.05.06 オーデトリウム渋谷にて鑑賞)

(評価:★3)

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