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[コメント] 赤い天使(1966/日)

「好きな人に愛情まで求めるのは不潔よ」小池真理子さんの『』より。
Ikkyū

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なぜか。本作のラストシーンを見てその気持ちがわかりました。

最期の時 女は死を目前にして男を求めました。 種の保存欲求が高まり生殖本能が刺激されたからです。 今が生存欲求のピークです。 遺伝子をつなぎ子孫を残すことで自分が永遠に生きたい!という気持ちです。

しかし私の心を愛してほしいと男性に言いました。 それは自己保存という生物の一番根源的な欲求以上のものです。

だから体のみならず心まで欲するのは「欲深い」のです。

* 恋 の抜粋です。

雛子が大久保に一途に求めていたのは、彼の肉体ではなく、精神であった。 精神!目に見えないもの。形のないもの。その癖変幻自在で、まとまりのつかないもの。 肉体に比べて、常に高尚な役回りを担っているもの。。

そんなものだけを求めるなど、不潔な行為としか思えなかった。汚らわしかった。 貪欲に肉体を求め、快楽を求め、性に溺れていく人間の方が遥かに清潔だと私は思った。

信太郎以外に、千人の男を相手にし、嬉々としている雛子は聖女だった。だが、 たった一人の男に魂を丸ごと預けようとする雛子は淫売も同然だった。 P.247

(評価:★3)

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