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[コメント] トーク・トゥ・ハー(2002/スペイン)

社会的にあの行動が許されるのか? それは違う。だから、その後、一度も会うことを許されなかった。あの行動は罪だから、罰を与えてるのだ。
kazooJTR

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







評価が分かれる作品。 特に男女間で評価が分かれるだろう。

これは「ストーカー」の一言で済ませるのは早計。 結局、ペニグノの色んな行動の起因は、青年期の母親の介護にあると思う。 劇中では、多くは語られてないが、青年期という一番多感な時期に母親の介護に徹し、その他の女性とはろくに接する機会さえなかった彼が、どこで女性を愛することを学べるのだろう?

そこにあの「サイレント映画」。 この「サイレント映画」は非常に良く出来ていると思ったが、“無菌状態”のペニグノがこの映画を見て、肉体的な愛を知っての、あの行動は十分理解できる範囲。この発想が面白い。

でも社会的に見て、あの行動が許されるのか?と言えば、それは違う。 だから、ペニグノはその後、一度も会うことを許されなかった。あの行動は罪だから、罰を与えてるのだ。

ラストシーンでマルコとアリシアが惹かれあうという終わり方だったが、それはやり過ぎで、劇場のロビーで少し会話をするシーンで終わるべきだったと思うが、総合的に見てもペニグノとアリシア、マルコとリディアと成就しない愛と絶対的な孤独を描いたペドロ・アルモドバルは素晴らしく、アカデミー賞脚本賞もダテでなかった。

私はこの映画を高く評価するが、 “じゃあアリシアの気持ちはどうなるのか?”というような見方をする人は評価は低いだろう。 言っていることは1つなのだが、視点が変わることで捉え方が変わってしまう。

この映画は非常に考えさせられる映画だ。 ひとつ撮り方を誤るととんでもない方向に行ってしまう。それは見る手も同じで、ひとつ捉え方を誤ると全く理解できないことになってしまう。

(評価:★4)

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