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[コメント] 新幹線大爆破(1975/日)

本作は外国人からもカルトな人気を誇るとのこと。しかし私は敢えて言いたい。日本文化の中で育ってきた地球上の一部の人間にしか、この映画の真の魅力は伝わらないと。
パグのしっぽ

この作品、パニック映画という名でカモフラージュされているものの、中身はコッテコテの人情映画なんだもの。パニック映画、犯罪映画は敵役のトリックの巧みさ、そのトリックを解く脚本の巧みさがあって初めて魅力を発揮するものであるが、この作品はそんなものは全て端折って人情、人情、人情の洪水。私はヤクザ映画こそが世界で最も純度の高いヒューマンドラマだと信じている。東映ヤクザ映画の伝統のスパイスがふんだんに振りかけられたこの作品は、亜流ではありながらも立派なヤクザ映画なのである。暑苦しい義理人情、プロ意識から生じる紛争、着古した股下、ヤクザ映画を彩る全てがここにある。本作のファンだと称する外国人は、ぜひ他の東映ヤクザ映画を観るべきである。そして、さらに濃厚な日本人情文化に打ちのめされるべきである。

もう一つ日本人にしか伝わらないこの作品の魅力は、言うまでもなく映画のタイトルだろう。「新幹線」という時代の先端技術と「爆破」という極めて小学生的な単語を同居させてしまった監督の文章センスに、私は敬意を表したい。しかも、ただの爆破ではなくて大爆破。ここにもヤクザ映画独特の「ハッタリ」の匂いが感じられる。スポーツ新聞の一面や安いエロビデオに踊るあの雰囲気が、このDVDのパッケージにも踊っているのだ。

(評価:★4)

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