[コメント] レボリューショナリーロード 燃え尽きるまで(2008/米)
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チェーホフの三人姉妹的な「ここではない場所へ行けば幸せになれると言いつつ、たいていの人は言っているだけで何もしない」というテーマがやりたかったのではないか、と思うのだが…。
妊娠というイベントは、劇中にもあらわれてくる「行きたくないからわざと妊娠させたのでは」という疑惑・そしてその回答が語られないという点からして、テーマにあっていてとても良い。 夫自身もわざとしたわけではなく、深層心理で行きたくないと思ってたから無意識のうちにそうしたのでは、などいろいろと考えることができる。
だが、夫の出世というイベントは蛇足だと思われる。 たまたま出世したから行きたくなくなっただけじゃん、といったかんじで、ご都合主義な展開。そのせいで、普遍性がなくなっている。 いいかげんにやった仕事が皮肉にも評価されて、というユーモアでごまかそうとしているが、ご都合主義なのは確かで、この物語から浮いている。
あるべき論は好きではないが、この普遍的なテーマを扱うのなら、夫が引越しを渋る理由は普遍的なもの、つまり「漠然とした不安。成功できる保障がないということ」でなければいけない。 劇中では「出世というのは彼が迷い始めるきっかけであり、引越してやっていけるかという不安なども原因としてある」と見えなくもないが、そんな描写はない。 少なくとも、出世するから、という部分の比重が大きいことは確かだろう。
夫婦とその周りの人間の関係描写、妻が堕胎するときの描写、ラストの演出など、上で指摘した部分以外は完璧だと思う。 が、指摘した部分がどうしても引っかかって私の中での評価は微妙になってしまった。 私自身がこのテーマには思い入れがありすぎるので気になってしまうだけかもしれないが…。
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