コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] しあわせのパン(2011/日)

オムニバスは適当なストーリー構築の免罪符ではない。田舎の四季の風景は杜撰な演出の免罪符ではない。観客がこれをありがたがるようでは邦画の未来はない。
Master

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大泉洋の出世作「水曜どうでしょう」の名台詞・名場面で脳内補正しまくったため辛うじて脱落せずに鑑賞できたが、近年稀に見る誉めどころの無い作品である。

全体を通して「何でよ?」という疑問が多く、観客をストーリーに没入させる気がないとしか思えない。光石研八木優希が演じている親子が客として登場するシーケンスがその際たるもので、娘がかぼちゃのポタージュをなぜ飲む事にしたのかも全く説明しないし、出て行った妻・母親が帰ってこないことを確認し、噛みしめているところにあがた森魚がアコーディオンを弾き始めるシーンに至っては、どういう意図があるのか全く理解できない。シチュエーションコントやりたいのか?こんなもの「誰か演奏やめさせろ」となるのが自然ではないか。

最初のシーケンスでは「沖縄行くのドタキャンされたから北海道に一人で来た」という全く納得いかないシチュエーションで話を始め「月浦で沖縄土産を探す」という観客を愚弄するレベルの展開を見せる。そんなもん、東京帰って銀座辺りにあるアンテナショップに行け!という話で終わりである。

最後もパン嫌いのはずの老女がパンを貪るのが唐突に過ぎるしで、説得力というものを全く考慮していないように思える。

地方の平凡な日常を描くというのであれば『天然コケッコー』があるし、北海道にこだわりたいのであれば直近で考えれば『探偵はBARにいる』という作品が既にある。本作のように一般的な北海道のイメージのみに寄りかかった作品を作って満足して欲しくはない。その感覚がこの作り手達にあるのかどうか極めて疑問なのが非常に残念である。

CUEさんさぁ、大泉さんもしくはTEAM NACS絡み以外で感心できるものいつになったら出してくれるのよ?次こそは頼みますよ。

(2012.2.12 109シネマズMM横浜)

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)青山実花 ひろひろ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。