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[コメント] アメリカを売った男(2007/米)

「こういう人間がいたんだ。ドラマチックだろ?」と言いたいのは良く分かる。だが、心の闇に迫らず、闇を闇として見せる事を登場人物の台詞で正当化するのは表現者として逃げだと思う。
Master

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前作の『ニュースの天才』もそうなのだが、ビリー・レイ監督は事象の珍しさを拠り所として動機の部分の描写を一切無視する方法をとっている。個人的にそれはアリだと思う。しかし、それならばあくまで結果のみを追いかける手法をとるべきで、逮捕後にそういった主張をハンセン(クリス・クーパー)に喋らせる必要はないだろう。あえて釘を刺したつもりなのかもしれないが、動機欠落の批判に対して「こういう人なんだから仕方ないでしょ?」と逃げを打っているようにしか見えない。その分少々残念だった。

それ以外の部分については、緊張感の醸成や人物の描き方など上手く出来ていると思う。実話をベースにすると、特に必要のない部分も描いてしまいがちだが、本作についてはそれはほとんどなかったように思う。FBI施設の一部も使われていたり、そういった意味でも良い作品である。(2008.03.29 シャンテシネ)

(評価:★3)

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