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[コメント] 聴かれた女(2006/日)

「妄想」という恋愛の形にひとつの解答を示す意欲作。決して単なるイロモノ映画ではないし、いい意味で普通に面白いサスペンスに仕上がっている。
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 当然、蒼井そら(のハダカ)目的で見始めるわけだけれど、意外に面白くて驚いた。

 偶然、壁の薄いアパートに引っ越してきたことから盗聴にのめり込んでゆく主人公は充分に変態だけれど、盗聴される女の彼氏がさらなる変態という構図がいかにも「イマ」的。2転3転するストーリーはコンパクトながら、サスペンスとしての牽引力はけっこう高い。

 特に終盤、サツキが「リョウが自分を盗聴をしていたこと」に気付き、「聴かれた女」から「聴かせる女」へと変貌してゆくクライマックスは迫力充分。その動機を思えば普遍的なラブストーリーとしても成立している。

 盗聴だ変態だ主演がAV女優だという色眼鏡を外せば、そこに残るのは「観客を楽しませよう」というエンターテイメント的な機知に富みつつも、現代の病巣を真正面から見据えた脚本。良作と思う。

(評価:★4)

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