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[コメント] テレビばかり見てると馬鹿になる(2007/日)

「山本直樹を穂花で」という試みは理解できるし映像も面白みがある。だけど、根本的に作り手が引きこもりに興味がなさそうだ。
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「失われた時間の回復」というテーマはとても普遍的で、それが「引きこもり」をモチーフにした映画なら「引きこもりからの脱却」を描くのは当然の展開だろう。

 だけど私がこの映画で納得がいかないのは、主人公の「今日、バイトの面接に行くの」というセリフである。これはもう、この日に彼女が面接に行くことはカウンセラーが現れる前から、もっと言ってしまえば映画が始まる前から決まっていたということで、スーツもいつの間にかクリーニング済だし、よそ行きのブラウスも2着も用意してある状態から物語がスタートしていたということなのだ。つまり、もうとっくに回復してたんだ、この女は。ただセックスにだらしないから退廃的に見えただけで。

 引きこもりがモチーフの映画なら、描くべきはそのバイトの面接を予約する瞬間の葛藤なんじゃないのかと。面接を入れるまでの逡巡や決意なんじゃないかと。なぜ5年も引きこもっていた女が働く気になったのかという彼女の「心の動き」にこそ、映画のテーマがあったんじゃないのかと。そう思うのですよ。

 あとで取って付けたようにパニック障害やら過呼吸の症状やらが出てくるけど、そんな小細工がセンセーショナルに受け入れられるような時代じゃないと思う。そんなの、それこそ“ホンモノ”がテレビのニュース特集なんかにばんばん出てるんだもの。

 原作を読んでいないので断定的なことは言えないのだけれど、少なくとも1本のドラマとしては、彼女の人生の中で焦点を当てるタイムラインを明らかに誤っていると思う。

 おっぱいは良い。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)なかちょ[*]

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