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[コメント] デジャヴ(2006/米)

骨組みはテキトーでも、見せたいシーンはしっかり見せる。娯楽王ブラッカイマーの注文を手練の職人トニー・スコットが仕上げた良質のモデルルームみたいな映画。
林田乃丞

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 決して悪い意味でなく、見世物としての水準が高い映画と思った。

 物語の仕掛けについての説明はだいぶ間引かれていて「完璧な設計!巧妙な構築!」という種類のSFではないのだけれど、二重目線のカーチェイスにしろ血の染み込んだ脱脂綿にしろ「あの船に娘が乗ってるの!」のおばあちゃんにしろ、ギミックと直結したシーンが見所としてバッチリ用意されているので複雑なプロットのわりに見やすいし、テンションも最後まで落ちない。だから、映画を見ていて楽しい。楽しいことはとてもいいことだと思う。

 あと、特に気に入ったのは表題の『デジャヴ』への帰結の仕方。ラストに難を逃れたクレアは目の前に元気なダグが現れたときに、それこそ強烈なデジャヴを感じるわけです。「あら、あなたとはどこかで会ったことがあるような気がする……いいえ、絶対に会ったことあるわ!っていうか、さっきまで一緒にいた!」と。だけどダグからすれば「クレアさん、それはデジャヴってヤツですよ」と言える立場なわけで。つまりは、私たちが感じているデジャヴ(既視感)ってのは、実は単なる気のせいではなくて、本当にあったことが時空がねじれたおかげで無かったことになってるだけなのかもしれないよ……という、何かちょっとSF的にオシャレな感じのラストだったと思いました。

(評価:★4)

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