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[コメント] タッチ(2005/日)

双子の衣装で面食らった。
夢ギドラ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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超有名漫画が原作、長澤さんが主演。といったら、もう何にも出来ないことは想像が付く。まったく期待しないで観た。予想通り、中だるみどころか、最初から観てるのが面倒臭くなる。しかしながら、制約だらけのなかで、犬童監督は自分の仕事をしていたと感じた。面食らった。

タッちゃん(斉藤祥太)、カッちゃん(斉藤慶太)の双子。なんか双子ってだけでキャスティングしちゃった、という印象。でも、とにかくも、外見で、見分けが付かないことが重要だったのだろう。そこに監督はこだわったのだろうと感じた。双子は、外見が似ていて、性格はかなり違っている。兄タッちゃんは、勉強ができて落ち着いたタイプで、弟カッちゃんは、スポコンでやんちゃ。服装もその感じで、落ち着いたお坊ちゃんタイプの服と、野球少年の服な感じ、最初は。

中盤で、スポコンの弟が、落ち着いた色のセーターを着て、読書しているシーンがある。なんでもないシーンだ。双子のどちらなのか、画だけでは分からないから、まあ服装的に、兄のほうだと思った。そしたら、弟の方だった。観客であり他人の私は、服装が変わったら、見分けが付かない。

本作は、その意味でボディダブルの悲哀をうまく描いていたと思う。外見が同じでも、まったく別の人間で、別の人生を生きている。双子の母親(風吹ジュン)は、このことを強調する。生きている息子が、死んだ息子の人生を背負っていることに憤怒する。本作では、科白でそのようになる前に、衣装の先入観で見分けが付かずに混乱したことが、母親の真剣な思いをより強く印象付けたと感じた。(まあこれ、意図してやったテクニックなのか、私が馬鹿すぎるのか、分からないんだけど。とにかく、良かった。)

主演の長澤さんに関しては、およそ欠点の見つからない人で、私は好きでも嫌いでもないな、と思ったけれど、とてもヒロイン然としていて、10年20年後のことを思った。長澤さんが40歳になって何らかの映画に出ていて、自分も同じように歳をとって、この演技は酷い、若い頃の「タッチ」も相当だったけど、なんてことを、嫌味でもなく、心から懐かしい気持ちで、思っていそうな不思議な予感があった。きっとそういうスタンスで撮られた作品だろうから、思惑どうりにいったと思う。

(評価:★4)

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