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[コメント] 息もできない(2008/韓国)

息もできない。でも生きないといけない。
きわ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







息を吸うと、憎いあいつの吐く息が体に入ってくる。 息を吐くと、憎いあいつと同じ匂いがする。 繰り返し繰り返し、この空間の中で淀む空気。息。血。

「俺を連れて行ってくれ。学芸会に行かねえと。ありがとう。俺を連れて行ってくれ。」

たしかにサンフンは自分をハンマーで殴ったやつにそう言った。 「ありがとう。」と。 殴ったあと、集金した金の入ったサイドバッグをまさぐる犯人の事を、自分を抱き起そうとしてるとでも勘違いしたのだろうか。

自らの血でのどをゴロゴロ鳴らしながらサンフンは死んだ。でもこの時口にしていた言葉が、一番素直で希望に満ちてきれいな言葉だった。 彼は実際誰に殺されたんだろうか。彼をこんな傷ついた野犬のようにした父親だろうか。それとも父親をあんな風にした社会だろうか。社会をこんな風にした世界だろうか。 野犬のようにしか生きれなかった男は野犬のように死んだ。 それでも、それを泣いてくれる人がいた。彼は長生きはできなかったけれど、それでも愛された証は残したんじゃないだろうか。苦しくても、しがみつくように生きた甲斐はそこに残されたんじゃないだろうか。

マンシクの七変化に関しては、おーい粗茶さんのまさにおっしゃる通りです。彼はいろんな人に見えました。あの順番で変身していました。「シーバーラーマー」は絶対に覚えなくていい韓国語だけど、もう覚えちゃった。(10/5/20 劇場)

(評価:★4)

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