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[コメント] ブラス!(1996/英=米)

連続TVドラマを短縮したような創りが減点材料。それと炭坑で働く人々の歴史を知らないと伝わり難いテーマでは?
さいた

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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実はこの映画は、もっと高い点数を付けても良いくらいのテーマ性があります。それは”廃坑による失職”と言う人間の生活基盤を題材にしているからです。ですが残念ながら、そのテーマを全て伝えきっているかと言いますと、NO!と答えざるを得ません。それは人物描写が物足りない事も原因のひとつにあげられます。本来ならばこの作品は連続TVドラマで長時間かけて放映されるべき代物だと思います。そうしたならば、もっと人物を掘り下げられた事でしょう。監督はTVドラマの出身だそうですが、「ブラス!」も同様、映画と言うよりもTVドラマに近い作品なのです。わざわざ大きなスクリーンで観る価値も、2時間と言う短い枠で観る価値も全く見出せません。

本当はもっと登場人物達にも色々な人生があったのではないでしょうか。家庭が崩壊したり、自殺したり、病気で倒れたりする過程にも、もっともっとドラマがあるはずです。それらを削除するのはもったいないと思います。それに炭坑の繁栄した楽しい頃の生活もあったはず。過去と現在の対比も描いて欲しかったことのひとつ。そうでもしない限り、炭坑に携わっていない観客には、キャラクターの感情の一部しか伝わってこないのです。繁栄があったからこそ衰退が実感できるのです。栄枯盛衰とは故人の教訓。

それらが全て伝われば、この作品は傑作となり得た事でしょう。上記でも述べた通り、仮にTV連続ドラマで人物描写が木目細かく描かれて創られていたとしたならば個人的には賞賛に値する作品になったかもしれません。本当に惜しい作品です。

(評価:★2)

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