素晴らしい！見終わった後、非常に爽やかでメルヘンの世界へ移入したかのようだ。ストーリー的には一言で言えば「消極的な女性が恋に落ちて、その男性を頑張って追いかける」という単純明快なものだ。しかし、その中で『デリカテッセン』などで見せたジャン＝ピエール・ジュネのユーモアや独特の映像、ヤン・ティルセンによる心和む音楽がピッタリはまっている。ブラックジョークも交えつつ相変わらず笑わせてくれるし、雰囲気が明るいとはいえ映像は完璧ジュネの世界だ。今までのジュネ作品とは対称的な題材だが、長所が生かされ彼のカラーが良く出されてた。

　そして、アメリを演じた主演のオドレイ・トトゥの不思議な魅力に虜にされた。顔がきれいとかではない。アメリという一見変わった女の子のチャーミングさには微笑むしかない。トトゥのパッチリした目と彼女がとにかく生きるカメラワークも良い。また、ジュネ映画の常連、ドミニク・ピノンなども個性あるキャラクターを演じていて良い。

　「見た人が幸せになる」という理由も分かる気がする。本当にオシャレで爽やか。個性を生かしつつ新境地の開発の成功したジュネの発想力とセンスはものすごい。