[コメント] モンスターズ・インク(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
「さっぱり」と「しっとり」。『トイストーリー』と比べると判りやすいかな。多分僕にとって大きかったのは「登場してくる子供との距離感」なんだと思います。以下僕の「トイストーリー」レビューから抜粋させて下さい。
“「トイストーリー」の主人公が彼の持ち主に抱く気持ちは、どこまでも一方通行。ただお話の中で持ち主からの愛情も見えてくるので片想いではないのですが、どこまで行ってもお互い一方通行の愛情なんです。何故なら話ができないから。その代わりに見えてくるのが「無言の信頼」。「決して直接話すことはできないけれど、僕はいつも君を信じているよ」という、切なくも暖かい気持ちなんです。「トイストーリー」自体、この「無言の信頼」の確認作業の映画と言ってもいいかも知れない。”しっとり。
対して今作は、キャラクターの設定上お互い話すことが許されています。代わりに登場する壁が、モンスターであることであったり、人間が恐ろしい存在だという設定だったりするわけです。ただこの壁は、「トイストーリー」に比べれば非常に薄いです。何故なら観る側として「この壁は間違った壁だなぁ」と思える壁だから。そのためサリーとブーはこの壁を簡単に越え、映画の焦点は「周りのモンスターに壁がない事を認めさせる」方に代わっていきます。こうなれば結末は当然「認めさせる」ことにしなきゃマズい。壁を全部とっぱらっちゃうわけです。さっぱり。
ラストの再会もさっぱりしてますよね。これから仲睦まじい未来があるんだから。
ある意味「トイストーリー」で感じた寂しさを昇華させてくれたとも言えるのかな。文句のないハッピーエンドでウキウキします。
ただ、大人になってしまい「哀愁」とか「郷愁」に弱くなってしまった僕は、「トイストーリー」の最後に残った一枚の壁「永遠にお話をすることはない」もいいなぁとか思ってしまうわけです。
これは映画の出来不出来ではなく、好みの問題ですね。もちろんこの映画も十二分に好んでての上でね。
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