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[コメント] 少林寺拳法(1975/日)

千葉真一、熱い、強い、喧嘩っ早い。とりあえずそれだけは伝わった。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 同じ千葉真一主演で大山倍達の半生を描いた『けんか空手 極真拳』の時もそうでしたが、東映には人様の人生を脚色することに対するブレーキがないらしい。「満州で工作員」「大阪でドヤ暮らし」「香川で道場開設」「防犯組織的役割を担う」辺りは事実に沿っていましたが、あとはかなり、というか間違いなく眉ツバモノです。眉からツバが垂れ落ちてくるぐらい眉ツバです。軍本部で機関銃は乱射するわ、人のチンチンは切り落とすわ、挙げ句にヤクザの親分正拳で殺しちゃマズいだろ。でもねぇ、それがいいのです。

 ただ逆にいうと、今回はその度合いが妙に半端だったんですよね。何が半端かというと、クライマックスの小池朝雄たちとの抗争までが長過ぎる。オープニングから1時間過ぎまで、ずっと主人公の行動は行き当たりばったり。その時々の悪役を殴っては次に進んでしまいます。だから観客は「道場が開きたいのはわかった。だけどこの映画でのクライマックスはどこに持っていけばいいんだ?」と視点が定まらない状態で観続けなくてはならないんです。小池朝雄と名和宏が結託するのはいいアイデアなんだけど、それが90分の映画で70分過ぎてからでは、せっかくの悪役退治のカタルシスも減ってしまうっていうものです。何よりダレる。

 また途中で主人公が到達する「力愛不二」の境地が、その後の物語に何の影響も与えていないのも半端といえば半端。何か「言っただけかよ」感が残る感じです。愛に気付いたから小池朝雄は殺さないのかと思ったんだけどなぁ。それはそれこれはこれなのね。

 まぁ要は実話と虚構のバランスが取れなかったってことなんでしょう。きっと本当の宗道臣はもっとマトモな人だったんだろうなと、逆に思わされてしまった作品でした。それにしても千葉真一と志穂美悦子の動きは良い。ストーリーがどうでもよくなるくらい良い。

(評価:★3)

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