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[コメント] アントニア(1995/英=ベルギー=オランダ)

 種を蒔いたのは、女。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「のろま」をからかったガキンチョを木に引っかけてやったところから、このお母さんに惚れた。やるときゃやる女。力ずくで押さえ込む男がいない女。型破りな女がもってきた、新しい時代。

 変化する時代の中で、一人周りを遠ざけ自分だけは変わらないぞと引きこもる哲学者。流れ流れている時間の中でふと気付いたら自分のいた場所がわからなくなってしまった。真っ暗な世界では生きていけないと自殺する哲学者。事故で死んでいく男たち。男は変化に弱いことにされてんのね。ちょっとかわいそうな気がしなくもない。

 時間の変化は残酷であるけれども、親から子供、子供から孫へと次々新しい世界がつくられていく。「何もかもが良くなるなんてそんな誤解には耐えられない」そりゃ、何もかもは無理だけれど、すべてを受け入れていけば、悪いことだってあるだろうけど、いいことだってそれなりにあるのだ。

 自分の死ですらゆったり受け入れるアントニア。信じられないほど大らかで、カミサマみたいに何もかもを受け入れた彼女の人生は、受け入れた人たちの数だけ充実していただろう。そしてさらに次の時代にひきつがれるのだ。まさしく大往生ナリ。

(評価:★5)

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