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[コメント] 書剣恩仇録(1981/香港)

 途中からはじまり、途中で終わる映画。それよりなにより、チョウ・ユンの作風とこの小説世界はまったく合っていない。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 長い原作のダイジェストだからということもあるだろう。この映画の終わりが「囲まれた!」「逃げるぞ!」「脱出成功!」というだけなのもあるだろう。ティ・ロンが二枚目スターとしては賞味期限ギリギリというのもあるだろう。だが、それよりなにより、私はカム・ヨン小説が苦手だったということを思い出した。

 カム・ヨン小説によくあるなんちゃらいう技の説明、映画だとそれに忠実に再現しているんだろうが、そういうのどうでもいい私にとってそれは単なる特殊効果が鬱陶しい映像であるだけだ。カム・ヨン小説によく出る何でもできる主人公(奴らは精進すれば何でもできてしまう)、彼が琴を奏でると、空気がさざめき、水面が揺れる。そんな描写を忠実に再現すればするほど、私にとっては寒々しさが増すだけだ。小娘がうるさい。というように、カム・ヨン小説で私の苦手な部分だけが目についた。

 カム・ヨン小説のいいところ、豪快第一の部分はチョウ・ユン独特のしっとりした作風が邪魔して活かされていない感じ。同じカム・ヨン&チョウ・ユンの『五毒天羅』(明らかに『倚天屠龍記』を元にしている)はミステリ的要素と権力争いや個人の感情などが絡まって面白かったし、ツイ・ハークの『スウォーズマン 女神伝説の章』はあの突き抜けた演出と配役の妙が相まってとても楽しめたから、これはやっぱり原作と監督の相性の問題、いや脚本がマズかったのか。誰だよ、この映画輸入すること決めたの。

(評価:★2)

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