[コメント] ディープエンド・オブ・オーシャン(1999/米)
伏線の張り方がツボにはまった。2009.5.3
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画の現実はなんとも一筋縄ではいかない。
素行の悪くなる兄がいればショックから立ち直れない母がいて皆の気持ちを理解できない父がいて、それは全て誘拐事件がきっかけなのだが、それが解決したからといって昔に戻れるわけではなかった。誘拐犯が憎くても弟には誘拐犯が愛すべき育ての親だという複雑さがあった。そして誘拐犯は悪いのだが、犯人も哀しみをかかえていたという切なさも出てくる。世の中客観的に見てみると、善悪で割り切れてしまうことなどないのかもしれない。
それぞれ傷ついて散った家族の心が集まってくる様は少しずつで歯がゆいのだが、それゆえ一層響いた。クライマックスの一つは弟が箪笥の思い出を語る場面だろう。
映画はかくれんぼをしていて弟が箪笥に閉じ込められてしまう場面で始まる。バタンと閉まる箪笥の中で開かないと蓋を叩く弟。何だか不気味だ。子どもがいなくなる映画だということは知っていたので、ああその伏線かと思っていた。 でもそれだけではなかった。弟はその箪笥の匂いを覚えていた。その匂いは、必ず兄は助けに来てくれると信じていた記憶を呼び覚ましてくれたのだ。そんな美しいシーンへの伏線でもあったとは。文句なしに幸せな涙が流れた。
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