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[コメント] 生きてこそ(1993/米)

下手なアクションより絶対乗れます。登場人物がなかなか素敵(特にフェデリコ)でパニックものとして最高に面白い。どうしてもカニバリズム的な部分が注目されがちなのは話題として仕方のないことではありますが…
mal

 カニバリズムはこのストーリーの一貫したテーマ「神の存在」を表現する手段のひとつであろうと思います。

 神と言ってもここに登場する神は、宗教などといったちっぽけな価値論は超越したもっと大きな存在であり、その神は彼らの行動を否定も肯定もしません。そもそもカニバリズムへの畏怖というものは、疫病の蔓延を防ぐ目的や心理的な理由から、意外に最近の時代の人間が作り出したものでもあります。カメラは実在する生存者たちに敬意を払いながらもドラマティックにそのシーンを追いますが、アンデスの偉大な自然はただ淡々と見守るだけ。人間らしい希望や失望や葛藤も、ただただアンデスによって包み込まれるだけ。ここに神と呼ばれる何かの姿を見出すのは、日常的になんらかの宗教を信仰している人間だけではないはずです。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)鵜 白 舞[*]

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