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[コメント] 愛慾(1937/仏)

過去に未練を残す男の無様な姿。それとは一線を画したつもりの女がその男と大した差がないことを淡々と映像が語る。馴れ初めが雑然とした男女の[その前:その後]の微妙な力関係が面白いし、女の本性、男の本性の対峙が恐ろしいまでにリアル。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







パトロンの登場、パトロンの腕にしがみつく女が男を凝視できない姿。本当は金ではないのに、本当はお金が一番ではないはずなのに、誘蛾灯(=社会の仕組み)に包み込まれて五体を縛られる女性の悲劇が男性にも及ぼすのが巧み。ラストの逃亡姿が惨めったらしいが、その一面、なにかから解放された男の脱皮が描写されていたのではないだろうか。

サッパリした尺の長さに、ドロドロとした内容と痺れるツボを押さえている作りは定石でありながら、毎回胸を打たれる。

2003/8/6

(評価:★4)

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