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[コメント] その前夜(1939/日)

将棋盤に並べられた「歩」でありながら「金」に成る為に頑張った男は追悼の色が濃い。無茶を強いられた世相がよく反映されている山中貞雄追悼映画。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







見方を変えれば山中貞雄節の喪失というのが日本映画界全体にどのようにショックを与えたがうかがえる内容となっている。といえば綺麗に収まるが、正直、追悼映画という看板が重荷になったのか、描写が少々甘い。それに山中貞雄十八番である、漫才のようなセリフの掛け合いや省略法と逆説の話術がないので、さらに物足りなさを引き立たせている。

が、しかし新撰組を日本軍と見立てその中で若くして死ぬ新撰組隊士が戦地で病死した山中貞雄とダブらし、池田屋騒動の後に残された人々が山中貞雄を慕った又は山中貞雄が好きだった人々の感情が表現されている点はさすが梶原金八。

……この作品の監督は溝口、小津あたりがよろしかった。

2002/9/20

(評価:★3)

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