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[コメント] 夜になるまえに(2000/米)

ショーン、じょうずに化けてもばればれヨ。
kazby

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジョニー・デップの二役は、混乱を招きました。 原稿を没収するのに、ずいぶん手の込んだことするなあと思って、悲しくなったりして。 しばらくあとで、勘違いとわかり、苦笑しました。 彼、オールバックがよく似合っていましたね。

新生キューバにおいて、分派していった政治家達はもちろん、反革命分子、反体制のアーティストに対する弾圧があったことは、想像できますが、同性愛者や、障害者に対するこんな差別や弾圧があったことを、この映画を観るまで知りませんでした。という人が多いと思うんです。ですから、慎重に描いてほしいとは思いますが、いずれにしてもこの監督は、キューバに対してはよいイメージを持っていないし、政治や、一般の人の生活には、あまり興味がないんだなと思いました。

特にいやだなあと思ったのは、刑務所の中でだったでしょうか、”資本主義と、共産主義の違いは、共産主義では、尻を蹴られたら、拍手させられるが、資本主義では、叫んでもいいんだってことだ。”ってな部分。 ザーって気分でした。誰かに頼まれて、この部分を挿入したのかと思ってしまったくらいです。パンフレットも買ってみました。これはもちろん、日本人向けですが(笑)、カストロは、独裁者とだけ記され、彼が無視したという、「フィデル・カストロへの公開状」の文章が載っていました。

実はこの作家のことを全く知りません。 執筆活動を禁止され、ゲイであるという理由でも差別され、冤罪で逮捕され、国外脱出を試みたものの結局投獄されてしまった。彼の書くものはそれほど過激な内容だったのでしょうか、こんな美しい詩を書く人が...。 社会を全く知らない子供のとき、完全に自由だったと言い、次に自由だと感じるのは、多分死ぬときでしたよね。 本当に同情します。

超大国の支配と、限りない搾取に正面から立ち向かい、独立を勝ち取り、貧富の差のない、平等な社会を作ろうとした新しい祖国の国づくりに、自ら望んで参加したはずなのに、亡命を余儀なくされ、ついに帰ることができなかったことを。

生まれたばかりの赤ん坊のような自分の祖国をとことんいじめ続けた、隣の超大国の、見方によっては、プロパガンダともとられかねない、物語はてんでお粗末なイメージ優先の商業映画の題材にされていることを。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)町田[*] ALPACA[*]

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