[コメント] フィルム(1965/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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鑑賞後第一に感じたことが、あの眼は死の世界で、その死の世界に怯えるのがキートンの背中なのでは?ということ。誰でも死には背中を向けたくなるだろう。その眼を見まいとする姿に、鏡や窓や猫、そして「2つの点」が登場した。
鏡はそのままの自分を写すものであるから避ける(黒マントを被せた)。窓は眼、即ち死が覗き見る可能性がある(これもカーテン?を被せた)。猫は判断が難しい。おそらく彼の愛猫であるから逃がそうとした。しかし必要以上に猫のクローズアップが使用されていた。死の世界が猫の眼にリンクしたとも考えられる。後半、猫を相手するシーンは登場しない。金魚鉢と金魚も同様で、鉢は反射するから避けた(黒マント)。金魚に至っては完全に「金魚に見られている」描写。明らかに避けている。
次に「2つの点」だが、これは椅子や封筒に見受けられた。彼は2つの点に死の世界を感じてしまいそうだったが、辛うじて冷静さを保つことが出来たと考えても良いかもしれない。ただ、封筒の中身の写真だけはどうも解からない。おそらく幼少の彼の姿なのだが、その写真を考え深げに見つめた後に破いたのは何故か…。死を悟ったのだろうか。生きてきたことが無駄だとは感じていないはず。
こうして、キートンは深い眠りにつく。
本当の意味で深い眠りにつく。
かなーーーーーり興味深い作品です。そもそも、俺は生と死を考えただけであって、ベケットはそんなこと微塵にも考えていないかもしれない。
ほんと映画って面白いです。
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