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[コメント] 吸血鬼(1932/独=仏)

コクトーも溝口も、あるいはノルシュタインでさえここから生まれたかと思わせるような、耽美的な映像で綴られる怪奇幻想譚の古典。夢か現か幻か、ボーダーレスな恐怖「感」が漂う。
ぐるぐる

トーキー初期の作品として同時録音には技術的な制約が多かったようで、セリフも最小限。ストーリーはほとんどサイレントよろしく文字画面によって説明される。

同じく吸血鬼映画の古典として知られるムルナウと比べると、画面に吸い込まれるようなムルナウに比べ、60年代のサイケデリックにも通じる白日夢のような浮遊感に惹かれる。

サウンドトラックはほぼ全編にわたって鳴りっぱなしのヴォルフガング・ツェラーによる劇伴音楽が支配している。それがかえって画面への集中を程度に緩和し、何とも言えない浮遊感を生んでいるように思う。

DVDでの鑑賞。手元にあるIVC版とImagica版はどちらもドイツ語版を元にしているが、画面が明るめで英語字幕が挿入されるIVC版よりも、Imagica版の方が諧調性などでもやや優れている。

(評価:★5)

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