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[コメント] ロード・トゥ・パーディション(2002/米)

我々現代人も乳母車の無いロード・トゥ・パーディション
アルシュ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







マイケルとルーニー、マイケルと長男、ルーニーと長男・・・本作はこの3つの父子の物語である。

もちろん、メインはマイケルと長男であり、この父子の“道行き”物語。

マイケルは息子を厳格に育てている。敬語をつかっているのもしかりだが、家での行動を見ていても父への畏敬も深いものがある。また、マイケル自身も、堂々と表情をゆるめる事も無い。そんなマイケルの本当の気持ちが伝わるのが、最期の最期というのが人生の皮肉だし悲しさでもある。

「許してくれ」

家族に対して不器用な生き方をしてきたマイケルの、息子に見せた初めての”弱さ”。

パーディションという地名を目指しての旅だったが、これは「人生の破滅」「地獄」「永遠の死」というダブル・ミーニング。

マイケルのヒットマンとしての生き方は、常に「破滅」へ向かっていたのだ。

ある意味、現代に棲む多くの人たち(特にリーマン)の生き方も自分を騙し、家族を騙し、「破滅」へ向かっているのかも知れない。

そして、自分自身を重ね合わせると、尚更マイケルが哀れに思えてくる。

さて、欲を言えばこの作品、マイケル・サリヴァンのトム・ハンクスと追っ手ジュード・ロウはミスキャスト。どちらも殺し屋に見えないのは、汚れ役のイメージが薄いからだろう。

また、30年代のアメリカをよくぞ再現したものと感心しきりだが、ジュード・ロウがダイナーズでコーヒーを飲むシーンにおいて、逆さにする砂糖の瓶にバーコードが貼ってあるのが台無しにしてくれた。

(評価:★4)

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