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[コメント] アブノーマル(1993/豪=伊)

冒頭のおぞましさを除けばある意味『シャイン』並みの名作かもしれない
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







http://www.nicovideo.jp/watch/sm2214788

バビーは近親相姦の善悪の判断がつかない育てられ方をしていたから、外に出ても性的には障害となっていないのが面白い。アメリカ映画でよく見る、「幼少期におじさんにイタズラされて男性恐怖症になった」系の話とは一線を画するだろう。トラウマとは拒絶したくてもできない状況で初めて負う心的外傷だからだ。バビーの場合、確かにペチャパイの女性とはうまくいかないのも一種のトラウマだろうが、母親に似た巨乳の女性と一緒になればいい話だからね。つまりこの映画は巨乳探しの映画だったわけだ。(って論点ズレてますか)

しかし殺人に関する描き方についてはかなり疑問が残る。コトがうまく運びすぎなのは映画だから許すとしても、本当にあれだけの社会経験で殺人の善悪まで学習できたのだろうか。そのへんをもう少し描けていればよかった。なんだか神がどうのって話でお茶を濁された感じ。

ラストシーンに同じオーストラリアの『シャイン』を連想(救世軍のくだりはカウリスマキの『過去のない男』かな。)したが、まさかあんなハッピーエンドを持ってくるとは思ってもいなかった。バンドで支持される姿も「シャイン」っぽい。そんじょそこらの叫びとはレベルが違う、あれこそまさに魂の叫びであろう。絶叫にオルガン曲(バッハ?)がかぶるところで心打たれない者がいようか。ロックとクラシックの奇跡的な融合の瞬間だ。

バビーの母親の言う「毒に侵された外の世界」というのはなんというブラックジョークであろうか。その毒に侵されたとばかり思い込んでいた外の世界に出て自分の居場所を見つけたバビーに(一抹の不安はあるものの)幸あれと思わずにいられない。

(評価:★4)

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