コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 天と地と(1990/日)

「誰ひとり」何も描いていないから映画作品としては評価を下しようが無い。但し、あの金の使い方については邦画としては最大級の賛辞を贈りたい。
sawa:38

戦国の世の戦いは、千単位・万単位のぶつかり合いである。しかしそういった全貌を映画として描ききった作品はあり得なかった。

それを本作は、ベストではないがやろうと試みた。私はこの一点に対して惜しみない賛辞を贈る。何と言っても「陣形」対「陣形」の戦いを見せてくれたのだ。それはまるでPCゲームの実写版のようだった。

そりゃ、揚げ足を取りたくなるシーンも多々ある。それでも巨額の資金を使って再現された合戦は見事だったと思う。これは誠にもって正しい資金の使い方だ。映画で金を使うべきところは使うんだという方向性を角川は維持し続けた。

これを評価しないでどうするんだ。角川氏は人物的に問題があるようだが、邦画界を改革した功労者としてはその実績まで抹消されるものではない。

但し、本作の映画としての評価はシネスケの評価が妥当であろう。戦国一のストイックな男「上杉謙信」のストイックさが何も描ききれていないし、謙信に叛旗を翻す者たちの内面もおざなりである。そしてライバル「武田信玄」との対比もない。つまり誰ひとり満足に「人間」を描こうとしてはいなかった。

これでは映画作品としては成立し得ない。合戦シーンにばかり集中してしまう以前に、脚本を練り直す必要があったのではないか?さらに、角川氏は自らメガホンを握るのではなく、専門の人間にメガホンを託す勇気が必要だったのではなかろうか?

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] chilidog[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。