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[コメント] パッチ・アダムス(1998/米)

バナナの皮
ユリノキマリ

 この映画を見た数日後、娘と近所の団地内を歩いていたら、駐車場の近くに、なぜか生々しいバナナの皮が落ちていました。

「昔のコント知ってる?」「何それ?」「バナナの皮で滑って転んで笑いをとるの」「ふうん、本当に滑るの?」「どうかな。滑るんでしょ」

 こんな会話をしたように覚えているのですが、ごみ集積所からも結構離れた場所で、不自然に、まだそれほど変色していない皮だけが落ちているという不気味さ(多分、通りすがりのマナーの悪い車の落とし物ってところでしょう)と、そこから連想してしまうベタな笑い……。

 私にとってのこの映画は、まるでバナナの皮でした。

 「笑いの効用」は認めるけれど、計算ずくとでもいいましょうか、こうこうだから笑える、これがこうなったら人間は笑うべき、というお約束のもとに笑わされているような居心地の悪さが、私に余計なことを考えさせ過ぎてくれちゃいました。

ラストシーンを見せられたときは、正直言って「あ〜あ」としか思えませんでした。実在の人物に材をとっていて、おまけにR.ウィリアムズで、第二の『グッドモーニング、ベトナム』を期待し過ぎた私が悪かったのです。

1999年4月15日 郡山テアトル1にて。

(評価:★3)

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