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[コメント] フック(1991/米)

子供の為の映画は細部まで気を遣って作って欲しいと、大人になってから思いました。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何十年ぶりかに突然観てみたけど、やっぱり子供心をくすぐる子供のための映画。公開当時は私も「子供」って程子供ではなかったけど、やっぱりなんかワクワクした。

大人になった今、もう一度観てみたら、そのワクワク要素が何なのか分かりました。それは旅の入口となる窓の鉤の形であり、眼下に広がるネバーランドであり、また、心躍る海賊船の造形であり、今でもちょっと憧れてしまう凝った手作りの武器であり、そして憎らしいけど愛嬌たっぷりのフック船長でした。それらは全て、これから何かが起こるかも知れないっていう予兆としてそこに存在し、幼心をワクワクさせるものでした。

大人になった今でもやはりそれらの効力は失われていなくて、やっぱりワクワクした。特にフック船長(ダスティン・ホフマン)は今観てもとっても魅力的な人物でした。ピーターパンが帰ってきたと分かった時の、嬉しさを隠しきれない微妙な表情だとか、帰ってきたピーターパンがブヨンとしただらしないオッサンに成り下がっているのを見た時の怒りや絶望感だとか、とっても人間味溢れる滑稽なヒールとして、物語の良いスパイスになっていたと思います。

だからこそ、彼はネバーランドで憎まれる存在として、そこに居続けなければならなかったと思うんです。よく分からないまま「消えちゃったー!」とか喜ばれていたけれど、彼はネバーランドに居なきゃいけないんです。ピーターはなぜネバーランドに帰って来たのか。フック船長を葬りに来た訳ではないんです。子供心を取り戻したピーターは、程よくフック船長をやっつけて、そして自分の後継者たちの心を奮わせて、「クソー!ピーターパンめ!!逃げるのか卑怯者ー!」とフック船長の負け犬の遠吠えを聞きながら悠々とロンドンの街に帰って来なければならなかったと思います。

また、ピーターパンの後継者であるルフィオがあそこで死ぬ必要は全くない。全く。それこそフック船長を「悪」に祭り上げる為だけに用意されたシナリオで、この映画にそのような描写は全く必要ない。フック船長がカツラだったという件もまぁ・・・必要なかったのかなと思います。子供はあのシーンを見て笑うかも知れないけど、そこには大人になったピーターパンと共に老いたフック船長がいたという、わりと切ないシーンで、決して笑う場所ではない。だから不要だったかなーと思います。

子供の為の映画である以上、細やかな部分まで気を遣って作って欲しかったなというのが大人になってからの感想でした。

ちなみに今観たら、本当誰とも絡みのないチョイ役だけど、若い頃のウェンディがグウィネス・パルトロウだった! ビックリ!

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08.01.16 記

(評価:★3)

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