[コメント] 茶の味(2003/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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オジイのオリジナルの歌とか、あれは分かるんですよね。囲碁マンも分かる。大きいサチコも分かる。まぁおでこ電車もギリでアリ。でもね、例えば母親とオジイが絵のアングルについて「こう!」「いや、こう!」みたいにやるアレ。すごく嫌だし全然面白くないし共感も出来ない。漫画家の方の叔父の存在も狙いすぎで(当たってないけど)すごく嫌。こういう嫌味な描写が多いので、観ていると不快指数はかなり高めになってしまう。
また無駄もものすごく多い。というか無駄がほぼ占めている。ミキサーの方の叔父が早朝に昔の恋人と再会するシーン、いるか?と思うし、森でう●ちをした思い出話も普通に考えたらいらない。というか、叔父二人はいらなかったんじゃとすら思える。そういや俳優の無駄遣いって事も言えるのかも(草なぎ剛は分かったけど、松山ケンイチは分からなかった…)。
でもこういう要らないモノがこの作品には必要だったんだろうなとも思えてしまう。要らないものを排除した世界はそりゃ素晴らしいかも知れない。でも現代では巷には不要なもの、無駄なものが溢れていて、それは私たちにとって紛れもない日常なんですよね。それこそ私の部屋なんて無駄なもの、不要なものしかないもの。
意識したかは分かりませんが、小津の作品には無駄なもの、不要なものは全くなかった。それが当時の日常だったのだと思うし、だからこそあのシンプルな世界に私は憧れ、美徳を感じる。でも現代でソレをやると、完全嘘ですよ。この作品で所々感じる嫌な空気、これは確実に現代の日本だと私は思うんです。
そしてその嫌な感じをラストでお茶が浄化してくれる、これこそ救いだなぁと思いました。無駄一辺倒だったオジイの必然性にも泣かされたし。
しかし無駄ばかりの作品のくせしてタイトルだけは『お茶漬の味』から「お・づ・け」を省いてシンプルになってるってのが逆説的で面白い。(振り仮名の「け」は表記されていないから、考え方によっちゃ「お・づ(小・津)」が省かれているとも取れますよね)
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09.03.23記(09.03.20DVD鑑賞)
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