ああ、なんてかっこいいんだ、「黒の舟歌」を歌う野坂昭如。

これと主題歌「バージンブルース」以外の音楽はゴダイゴのタケカワさんとミッキーさんが担当。 ゴジさんが敏八っつぁんの助監だったことを踏まえれば（＊本作の助監は別の人）、否がおうにも思い出されるのは三年後の傑作『青春の殺人者』。

海へ、のイメージは増村版『遊び』でも使われているし、（本人が歌う）歌の歌詞にも良く登場するが、きっと何か特別な思いが込められているのだろう。とにかく胸が透きます。

物語に関して言えば、男の愚かしい「バージン礼賛」を描いて秀作。 男っては、女が「私、処女なの」なんて云うと 嘘にきまってるって切り捨てる反面、 内心ではそれを信じたくて仕方ない。 そこへきて 「処女ってのは嘘だけど、イッったのはじめてよ、本当よ」 なんて云われりゃ、鵜呑みにして喜んじゃう、 そんなモンです、バカなんです。 だからね、長門の気持ちは、よ〜く判ります。

あぁ、いい映画だなぁ。