コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 人妻集団暴行致死事件(1978/日)

複線の綺麗っに張り巡らされた佐治乾の脚本の素っ晴らしいこと。後半は「暴行致死」場面に物足りなさを感じるも「事件後」の常軌を逸した緊張感は流石田中登
町田

脚本家・佐治乾(さじ・すすむ)は東映や日活のプログラムピクチャー(主にギャングものや任侠もの)の代表的シナリオライターの一人だが、笠原和夫なんかに比べればカスみたいなモンだと決め付けていた。しかし本作に於ける彼の仕事の精密度・論理性は、誇張抜きで全盛期の笠原に見劣りしない素晴らしいものであった。

黒沢のり子の増村保造仕込み?の昆虫的演技や、室田日出男の迫真且、力の抜けた演技も良かった。また古尾谷ら不良少年が徘徊する密閉された田舎の盛り場の雰囲気は中上健次の小説映画化作品を彷彿とさせた。

ただ(毎度の事だが)音楽が不味い。中盤で出てくるエレクトリック・シタールの曲は意外性があっていいとしても、後半で多用されるあの感傷的なメロディだけはどうにも勘弁しきれなかった。これは(あの時代特有の軽薄な)音色のことを問題にしているのではない。純粋にああいう場面にああいう「音階」「コード」を持ってきてはイカンと思うのです。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)sawa:38[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。