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[コメント] ガーゴイル(2001/仏=独=日)

血の轍。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







吸血鬼(とりあえず呼んでおこう)とその妻、その夫との関係性にスポットを当てる。

SF、それも『惑星ソラリス』タイプの悲劇で、断片的エピソードの交錯が、特に導入部に於いて、難解さを感じさせたりもするのだが、ストーリ自体はいたってシンプルである。これも「愛」と「願望」についての物語だ。

アメリカやイタリアだったら挑発的な表題と宣伝文句の下で、ケレン味たっぷりに演出されそうな、あるいは実際にそうされてきたコノ手の題材を、ハンディカメラに拠るリアルな肌触りと、静かな語り口、厳選されたダイアローグを駆使して描き出そうと云う監督の意図は十分に理解できるものである。

予測していたものを遥かに上回る、良い映画だと思ったが、欲を言えば、ハンディカメラによる即物的な映像ばかりでなく、例えば『ソラリス』のあの無重力シーンのような、”映画華”も味あわせて貰いたかった。それと他は過不足なかったのだが、ギャロとベアトリス・ダルの関係性についてのみ、説明的で説得力不足であったきらいがあるので、研究室での会話以外に、もう1シーンでも追加しておくべきであった。

(評価:★4)

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