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[コメント] マグノリア(1999/米)

コーエン兄弟の作品だとばかり思っていました。
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この作品の前に同じ監督の『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を拝見しましたが、あの映画は主人公の個性的な存在が映画を引っ張るエネルギーになっていましたね。

しかし、遡ることこの作品に関しては、主人公が一体誰なのか全くわかりません。

そして数々の名スターが画面に登場するにも関わらず、いずれもが主人公とは言い難い存在であって、これらの登場人物が一気に最後結びつく。そんな作品でした。

これはまさにコーエン兄弟の作品、例えば『バーン・アフター・リ−ディング』とかに似た印象を持ちますね。全く異なる存在が最後に集結する面白さ。

トム・クルーズフィリップ・シーモア・ホフマンが共演してるのも面白かった。彼らは『M:i:III』でも共演していますが、この時の二人は敵と味方。善と悪。ぞれがこの作品では逆転していたのも面白かった。

それにしても、最後にカエルが空から降ってくるエピソードには驚きました。冒頭のシーンで少年の自殺を映していた理由がここに反映されてくるんですね。

とにかくこの作品に出てくる人物はいずれもぶち切れます。耳をふさぎたくなるようははしたない言葉の数々。この意味が最後に「愛」という言葉で片付けられてしまうあたりにアメリカという国の持つ包容力と単純さを重ね見ますが、いずれにしても複雑な関係を一気に大きなイベント(この映画ではカエル)で片付けるという手法はち密な計算ができないとできない手法ですね。

そういえば『クラッシュ』という作品も同じ手法ととっていましたね。あの作品でも一部に人種差別的なニュアンスが隠されていましたが、この映画の最初と最後に出てくる黒人少年とクイズが得意な天才少年の対比でうまく表現していたと思います。

傍から見るとうらやましいような白人家庭の少年と、スラムでラップを歌う黒人少年が実は自由度で黒人少年が幸せ感を味わっていたという皮肉は実に辛辣ですね。

おどろくべく作品だったと思います。

字幕を担当された「戸田奈津子」さんの本で、この翻訳に大変苦労された、というお話を聞いてみてみました。

確かにこれを字幕にするのは大変そうですね。

2010/02/05(自宅)

(評価:★4)

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