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[コメント] コップランド(1997/米)

いっぱいいっぱいだと思うが、キャスティングだけで見れる映画。結構面白かった。
chokobo

脚本も兼ねるジェームズ・マンゴールドは演出力があって、この映画も面白かった。

何しろこのキャスティングである。ハーベイ・カイテイルにしてもデ・ニーロにしても、いずれも警察とは相反する立場の役が多かったはずだ。ここにきて双方立場は異なるものの、警察という立場で出演しているところが面白い。かつて『ミーン・ストリート』で共演した二人だが、特にマフィアや反政府運動などに走る役で立場を築いたデ・ニーロの平凡な演技も見物だ。デ・ニーロの落ち着いた演技など全く魅力のないものだが、この映画では見事にマッチしている。

他の脇役陣営も素晴らしい。この後『ハンニバル』で重要な役を演ずるレイ・リオッタ。この人の演技こそがかつてのカイテルでありデ・ニーロであったはず。この映画では微妙な偏向する警官の役を演じている。

そしてロバート・パトリックも見過ごしてしまいそうだが個性的な演技だった。かつて『ターミネーター2』でシュワルツネッガーを追いつめたあの演技。彼の目の先には鋭い視野があるようだ。最近では『Xファイル』でも重要な役回りを演じている。

これらの役者に囲まれればそれなりの映画になることは間違いないだろう。

そんな中、スタローンをありふれた保安官の役に配置したことがこの映画の最大の魅力と言えるであろう。かつて肉体派として君臨したスタローンであるが、ここではその印象を極力抑え、地味だがパワーのある演技をしている。こういう役を演ずることができることで彼の演技の幅も広がるだろう。

印象的なシーンは、かつて恋仲だった人妻を家に招き入れるシーン。スプリングスティーンの曲が流れ、アナログのレコード。一線を越えようとして越えられない。お互いが求めあいながら一線を越えられない。彼女は「この曲CDで出てる」とい言うが彼は「アナログでいい」と答える。このズレこそがこの二人の仲なのであろうことを一瞬にして表現している。

さてこの映画これだけの脚本であってキャスティングの豪華さを越えられないいっぱいいっぱいの所が感じられる。それは全体を多う。例えばラストの残虐シーンなどの表現がデ・パルマであったりリンチであったりすることを期待せざるをえない。キャスティングに圧迫されて、映画全体を通す地味な印象とラストの残虐なシーンとの落差を表現できればもっと面白かったであろうことは想像に難くない。

(評価:★3)

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