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[コメント] 必死剣 鳥刺し(2010/日)

平山秀幸監督は信頼できる方ですね。豊川悦司さんも似合わない時代劇ながら良く演じていました。(2011/01/18)
chokobo

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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平山秀幸監督というと一にも二にも『愛を乞うひと』が連想されるんですが、それまで『学校の怪談』シリーズなどを手がけた監督とは思えない重厚さで、その力量に感服したことを思い出しますね。原田美枝子さんがとにかく素晴らしかったですね。

その後の作品群で言いますと、ご本人の意思で作った作品がどれほどあるのかわかりませんが、私が拝見した『ターン』『OUT』『しゃべれどもしゃべれども』などは、いずれも役者の使い方が上手ですし、映画表現も(オーソドックスではありますが)丁寧で好感が持てます。

本作についても、一歩誤れば陳腐な時代劇になってしまいそうなネタですが、主人公の豊川悦司もさることながら、別家として最後に対決する運命にある吉川晃司の演出なども見事です。吉川晃司さんは、声がいんですよね。太く深く落ち着いた声がいい。だからむしろ豊川悦司さんをも圧倒するぐらいの迫力に満ちているんでしょうね。

財政苦しい藩の窮状を側室の一存でさらに苦しいものとする現状を見かねて、最も地味な侍がその側室を刺殺する。

本来なら打ち首となるべきところ、殿の弟である別家(吉川晃司)との対決を予想して敢えて殺さず、必死剣を使うこの侍との決闘に向けて殿様の警護に当たらせる、という筋書き。

この最後の迫力ある対決は見ものでしたね。

でも最後の最後に、本当の必死剣が炸裂して締めくくるんですね。

原作の藤沢周平ものとしては『隠し剣 鬼の爪』に匹敵する面白さですね。

山田洋次監督の藤沢周平三部作に劣らない迫力と面白さ。

平山秀幸監督の実力を思い知らされる見事な作品だったと思います。

2011/01/18 自宅

(評価:★4)

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