金子修介監督の実力は知れ渡っているところなので、この映画も安定した演出がされている。彼の良さは原作に忠実でありながら、映画的な世界も忘れないところだろう。

本作は原作の大筋を踏襲しながら、映画時間を利用しているため、原作と異なる場面がいくつか出てくる。

何しろ原作は心理戦であり、心理描写のセリフの多さでは類を見ない。少年漫画に連載されながらも、その内容はかなり緻密な計算に基づいており、いわば文字を追うのがこの原作の醍醐味だ。

それを映画にしするのは極めて難しいといえるのだが、そこは漫画の世界であって、例えばLのようなキャラが登場することによって立体的な表現に変って行く。

また死神についても漫画的な世界だ。リュークをいう死神は、ある意味現代的で、主人公の相談役、あるいは友達的な存在でありながら、スタンスはクールだ。従って、助言するわけでもなく、かばうわけでもなく、単に死神のルール説明をするという単純な存在。

ペットというよりはゲーム機のような存在だ。

このノートは正にゲーム機だ。そしてその取り扱い説明を死神が行っているのである。それを操る人の緻密さが、全てを左右する。善とか悪ではなく、その操作性に楽しみ方が隠されている。

映画では、キラと獲るＬの直接対決を控えて終わるが、この原作の流れからやむを得ないだろう。

後編に期待する。