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[コメント] ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス(2002/日)

初期作品に匹敵する出来だった。近年興行に偏っていたこのシリーズの印象を覆したと思う。
chokobo

テーマは”水”である。このテーマ、そしてカテゴリーには魅力を感じる。それは今人間が存在するために欠かすことのできない、不可欠なものだからだ。我々は”水”を失う恐ろしさを知らない。その飢餓、そしてその生命。我々が幾憶年もかけて築き上げた生命の源。その”水”というテーマをしっかりと映像に映し出した。それがこのシリーズの行き着く本作品だったとは知らなかった。

今回出演するポケモンは絞られていて、これまであまり意味を持たないロkット団の存在や、意味もないピカチュウの存在が苦にならない。テレビシリーズの延長だから必然的に出演せざるを得ないキャラを極力抑制し、完全にストーリー中心の作品としている。

この二匹もポケモンがいずるこの町はもちろんベニスであろう。この町の水と親しむ、そして生活の一部となったこの川や海などがこの映画の主役として登場する。あの『ベニスに死す』でヴィスコンティが描いたあのベニスに朝鮮している。この見事な情景描写にも食い入ってしまいそうだ。

生きることと死ぬこと。命がけで守る友情。この相関関係は今こそ失われた何かである。それを”水”というテーマに見事投影していることが、すべてを超えた美しさに反映されているのだと思いたい。涙なくしては語れない映画だった。

(評価:★4)

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