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[コメント] ワンナイト・イン・モンコック(2004/香港)

主要人物のキャラ描写が面白い香港ノワール。人物に寄ったウェットな視線と街を俯瞰するドライな視線が交差するが、ラストの突き放し方は意外だった。
ざいあす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一晩で起こる様々な事件とそれに絡む人間模様というありがちパターンだけど、人間描写がけっこう細かくて飽きさせずに見せる。

中盤ユーモラスなキャラで一息つかせてくれたりしたので程よくきれいに収まるかと思ってたらPG指定だったことを思い出させてくれるハードな展開。最後はちょっと救いの無い終わり方。ベタな感傷にならなかったのは良かったけど、それにしてもあと味苦すぎ。残したセシリア・チャンに小道具やセリフで彼を追想させるオチで泣かせて欲しかったところだが、懐の金を見るだけなんだもん。「世界一混雑した街」の締めくくりにふさわしい非情さではあるけど。

ダニエル・ウーはシャイで誠実な人柄なのにキレると大暴れ。その落差が魅力的なキャラだったので暗殺場面まで行って欲しかったが、そんなカタルシスは微塵もなくノワールな犬死に。大陸から来た彼だけが街を浄化するような免罪符的キャラで暴力を正当化させてきた(という風に見えたし、彼に感情移入してしまったから)のだが、最後でそれも清算されてしまった。街がすべてを飲み込んだかのような。

そういうオチなら初めからもっとクールにやって欲しかったよ。「ザ・ミッション」みたいに。いや、勝手に自分がダニエル・ウーに入れ込んじゃったのかもしれないけど。最初、刑事二人の語りで始まるので、最後ももう少し二人の表情を見せて欲しかったなぁ。警察側の人物描写はそれぞれによく描かれていて見応えありました。

それにしても終盤の暴力シーンはギャスパー・ノエの「アレックス」思い出すくらい強烈だった。それなのにレイプシーンは実際の描写なし。セシリア・チャンだからかもしれないけど、あれは甘すぎでしょ。世間体をチョー気にしてたラム・シューといい、香港ってやっぱ独特だわ。

(評価:★3)

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