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[コメント] 記憶の旅人(1999/米)

コーミアの作風を充分に活かし、詩的に感覚的に描いた青春の物語。ゆえに作品全体に漂うトーンが重要な作品。きちきちっと脚本に具体性やドラマ性、リアリティを求める人には不向きかもしれない。
TOBBY

冬の木立、空の暮色、澄んだ空気感。それらが映像を通し台詞以上に感傷的に物語を紡ぐ。メインの舞台は小児ホスピスであるので、ともすれば深刻であり悲劇的な演出になりかねないのをウェットに描かずにサラリと描ききった監督にセンスを感じる。主演のイライジャは複雑な主人公を繊細に演じており、共演のレイチェル・リー・クックも抑えた演技で好演。しかし、何と言っても本作で健闘しているのは口が達者な黒人少年を演じたジョージ・ゴア2世と、脳障害の少年を演じたジェフリー・フォース。彼等の確実な演技が作品に幅を持たせている。医師であるギャロファロが、イライジャに解く講釈も、ファンタジーと簡単に片付けられない説得力を感じる。時にミステリアスさも漂う、ふと心に残る佳作。

(評価:★4)

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