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[コメント] 8 1/2の女たち(1999/英=独=ルクセンブルク=オランダ)

組み合わせと活用法
hk

和服に身を包んだイカレ女(真野きりな)にオリエンタリズムを察知し、それをリアリズムに反すると批判するのは的外れである。伊能静のキャラクターによってあらかじめ皮相なオリエンタリズムは相対化されており、逆にグリーナウェイ自身の文化に属する主人公親子もまたリアリズムとはほど遠い中世貴族的な生活を送っているではないか。そこにあるのはオリエンタリズムという名の招かれざる政治的視点ではなく、ただエロスという名の確信犯的な美学的視点のみである。この視点に立てば、私達がこの作品から読み取るべきは、文化描写のリアリティ(なんじゃいほれ)などであるはずがなく、文化的エロスの組み合わせと活用法である。

(評価:★3)

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