コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ヘアスプレー(1987/米)

マイノリティの問題を、こんなに楽しく、かつ可愛らしい悪趣味でまとめあげた映画は他にないと思う。
tredair

久々に再見。

ミュージカル的な要素も多いので、そういった意味では劇場で見たときほどの興奮は得られなかったが、サントラをかなり聴き込んでいたので違う意味での楽しさは倍増していた。

また、これは私がジョン・ウォーターズにはまるきっかけとなった映画なのだが、彼の「ファミリー」にもすっかりおなじみとなった今は、たとえちょい役だとしても「あー、これでは○○役だったのね」とそれぞれのキャストが妙に愛おしく、嬉々として役者稼業にとりくむ監督の姿も微笑ましい。そもそもこの映画を見に行くきっかけとなったデボラ・ハリーの(昔のアイドルの面影はどこへ?)な怪演ぶりも、やはり最悪で大好きだ。

物語から受ける印象は昔と変わらず。これはどう見てもマイノリティ差別に抗する映画だと思う。人種差別が主となってはいるが、肥満児をはじめとした様々な容姿や個性の持ち主、悪趣味(本人はそう思っていないのだからしょうがない)と思われている人々までもを、この映画はさりげなく擁護している。

見ているうちに、美醜の感覚なんてものがどれだけ曖昧なものなのか、ということを突きつけられたような気にさえなってくる。それほどまでに主役の(太っていた頃の)リッキー・レイクは魅力的で、その笑顔には異様な説得力がある。ディヴァイン様もいい表情をしていて、男でもあり女でもある彼/彼女のトランスジェンダーな色気を十二分に発揮している。

また、ここがこの映画の最もチャーミングな部分なのだが、その「反マイノリティ差別」という聞くだけで凹みそうな重いテーマの調理法が、とても馬鹿馬鹿しくて豪快に下品で、かつ無邪気そのものである。このオタクな監督のことだからそこには緻密な計算が(たぶん)働いているのだろうけれど、悪い言い方をすれば、ひどく幼稚でくだらないのだ。随所にどうでもいいようなお下劣ギャグが挿入されていて、無条件で笑わせようという(無用とも言える)一生懸命さがあふれている。

そして、だからこそ「いわゆる社会派映画」を見たあとの例のイヤーな印象を受けないで済むという幸福感にもあふれている。

こんなにハッピーな闘う映画は、めったやたらにあるもんじゃない。

偏見と差別を決してとり違えず、それらを打ち破っていくために自ら闘うことを恐れない彼/彼女たちが、私は心から大好きだ。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (4 人)アリ探し[*] 町田 muffler&silencer[消音装置][*] ボイス母[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。